2015 年 3月 25 日
【コラム】「世界一の言語」とは?!
世界中に現存する言語の種類は、5,000とも6,000とも7,000とも言われています。それぞれがそれぞれの特徴を持った個別の言語です。
そんな言語の特徴を「数字」という切り口でご紹介します。
いろいろな数字が出てきて読み応えがありますが、お付き合いください。
言語にまつわるさまざまな記録
最も豊かで最も美しい言語は何でしょうか。
一度是非話し合ってみてください。
言語学者だけでなくそれ以外の大勢の人々も参加する事が望ましいです。もちろん全ての人々にとって彼ら自身の母国語こそが、最もすばらしく、もっとも洗練されており、もっとも美しく、そしておそらくもっとも普通だと言えます。
どの言語が最も響きが良く完璧であると決めるルールは存在しません。しかしながら、ほぼ全ての言語に他の言語と違った独自性があります。それが、国家が自国の言語を誇りに思う理由となります。本稿では、世界の言語がいかに多様であるかをお伝えします。
単語数について
まずは、言語における単語数についてです。
最も豊かな語彙を持つ言語としてトップに位置するのはギリシャ語で、単語は500万語あります。例えば、英語は50万語からなります。
ギリシャ語は「豊か」ですが、英語が「貧しい」言語というわけではありません。語彙数だけを問題にしてそのようなことを言うのは、英語での古典文学を知らない人、語彙数以外の面で英語がどれだけ豊かな言葉か知らない人です。
たいてい、多くの人が言葉の豊かさを決める一番の方法は、表現の豊かさによると同意しています。そして表現の豊かさという点においてロシア語やドイツ語と比肩しうる言葉はそれ程ありません。
ギネスブックでは、判断基準が不明確であるため「最も美しい言語」のカテゴリーはありませんが、その代わりに印象に残るたくさんの言葉にまつわる記録があります。
まず「乏しい」言葉について話しましょう。
フランス領ギニアのいくつかの地域では、たった340語しか語彙のない言葉が存在します。しかし、このように少ない語彙でもお互いにコミュケーションをとることができます。
例えば、最長のアルファベットを持つ言葉はアバザだと考えられています。なんと82個も文字があります。カンボジアのアルファベットは74個の文字から成ります。最も短い文字は、ブーガンビル島(パプアニューギニア領)にあるロトカス語に見つけられます。それはわずか11個の文字です。ハワイ古来のアルファベットは12個の文字から成ります。
書面に書かれたアルファベットの最古のサンプルはUgarit(シリア)で見つかりました。それは紀元前1450年ごろにまでさかのぼります。 現存する最古の文字は「on」であると考えられています。フェニキアで採用された紀元前1300年ごろと同じ形で、今も変わらずに残っています。
英語とハンガリー語では、最もよく使われる文字は"E"であると考えられています。「Q」は、フランス語を除く現代のヨーロッパ言語ではあまり使用されません。
エスキモーの言語においては「snow(雪)」の同義語は20個以上あり、白をあらわす言葉もたくさんあります。現在形も63個の形態があり、単純な名詞も252種類の語尾変化があります。
パプア・ニューギニアでは、およそ700言語(世界中の言語の約10%!)が話されています。これらの言語の他にも、近隣の村同士でコミュケーションをとるために使われる方言がたくさんあります。
Chippewaという言語(ネイティブアメリカンが話す)には最も多くの動詞があると言われています。その数、なんと約6,000語です!
タバサラン語(ダゲスタンで話される)には、名詞の格が48もあります。例えばハンガリー語では24、ロシア語では6だけです。
トルコ語には、不規則動詞はolmak(「ある」)の一つだけですが、このような動詞は英語では283語あります。
ロシア語、ドイツ語、ルーマニア語は3つの性を持ち、デンマーク語とスウェーデン語は2つ、フィンランド語とハンガリー語は1つの性を持ちます。しかし、オーストラリアのアボリジニ言語のジルバル語には、男性、女性、中性、食性の4つの性があります。
セダン族(中央ベトナム)の言語(母音が最も多い)では、55あり、最も少ないのはアブハズ語で、2つしかありません。
南部ブッシュマンの言語では、少し変わった音があります。なんと舌打ちの音です。
日本語には、欧州言語の"l"に似た音が存在しません。しかし、日本語は地球上で最も響きの良い言語の一つと言われています。
最大数の意味を持つ単語は、英語の“set”になります。名詞としての意味だけで58、動詞として126、形容詞として10です。
アジア言語を見ると、ほぼ全ての言語が何かしらの記録を持っていることがわかります。例えば、中国語には、全く動詞の活用がなく、時制がありませんが、膨大とも言える語彙があります。もちろん、数千年に及ぶ歴史を持つ言語にふさわしく、中国には漢字という素晴らしい文字があります。
40巻の中国語の辞書では、たった49,905の象形文字しか含まれていません。第四声のiの音素には84の意味があり、その中には「衣」「しゃっくり」「いやな」などがあります。書き言葉では、第四声の音節iを示す92の象形文字があります。
アフリカ大陸には1000種以上の言語が存在します。北アフリカのベルベル語は文字を持ちません。そしてボーア人の言語として知られるアフリカーンス語は20世紀前のオランダの方言と考えられていました。
しかし、アフリカーンス語は他の近隣アフリカ諸国の言語とは何ら関連性がなく、西ゲルマン語族に属しています。アフリカにおける本当にユニークなケースです!
ラテン語は多くの場合、「生きた言語」としては「絶滅した」と認識されています。しかし実のところ、ラテン語は変わらず話され続けており、徐々にマイナーチェンジがされただけだと信じている言語学者もいます。ラテン語に最も近い言語にカスティーリャ語という言語があります。いくつかの情報源によると、オック語とサルデーニャ語という言語もラテン語の影響が色濃く残っているそうです。これらの言語はラテン語にとてもよく似ています。
現在世界には6000以上もの言語が存在します。しかし、毎月約2言語が消滅しています。
一方、新しく生まれる言語もあります。各言語はどれも同じように興味深いものです。他の言語の特徴や面白さを知ることによって、あなた自身の母国語がどれほど価値あるものなのか、より良く理解できるようになるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
「長い」だとか「数字が多い」だとか「ダゲスタンってどこだよ」だとか様々感想があると思います。私がこれを読んで思ったのは、普段英語学習の際「日本語は特殊だから英語を学ぶのが他国の人に比べ難しい。だからしょうがないんだ・・・」という言い訳が潰されてしまったな、ということでした。
各言語ごとにそれぞれ特色があり、あまり極端な「日本語特殊論」に走らないようにせねばと思った次第です。(ひらがな・カタカナと漢字では、脳において処理する場所が異なっており、ホントに特殊性が強い、という説もあるみたいですが・・・)