2024 年 8月 30 日
安全な翻訳ツールの選び方とセキュリティ対策【法人必読】
ビジネスにおける翻訳作業で、多くの企業がセキュリティの不安を抱えています。情報漏えいのリスクは、企業イメージを大きく損なう可能性があります。しかし、適切な対策を取らないまま、作業効率だけを優先してしまうと、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。
本記事では、主要な自動翻訳ツールの安全性を比較し、セキュリティを確保しながら効率的に翻訳を行う方法をご紹介します。本記事を読んで、安全性と効率性を両立させた翻訳業務を実現しましょう。
【目次】
- ビジネス翻訳のセキュリティリスクとは
- 主要な自動翻訳ツールの安全性を考える
- セキュリティを確保しながら効率的に翻訳を行う方法
- 安全性の高いAI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」
- 「ヤラクゼン」で安全で効率的な翻訳業務を
ビジネス翻訳のセキュリティリスクとは
ビジネスシーンにおいて、無料翻訳ツールは非常に便利ですが、セキュリティ面では大きなリスクがあります。特に機密情報を扱う際には注意が必要です。多くの無料翻訳ツールは、入力されたデータを二次利用し、サービス向上のために利用します。これにより、機密情報が外部に漏れる可能性があります。
過去には、無料翻訳ツールを利用した際に機密情報が公開される事件も発生しています。
情報漏えいの事例
2015年、無料翻訳ツール「iloveTranslation」で大規模な情報漏えい事故が発生しました。ユーザーが入力した翻訳内容が、意図せず公開状態になってしまったのです。 この事件では、政府機関や金融機関の機密性の高い業務連絡、弁護士と顧客間の秘匿性を要するコミュニケーションの内容までもがインターネット上に流出してしまいました。
この情報流出の主な要因は、翻訳サイト運営側のセキュリティ設定の不備と、利用者側のプライバシー意識の欠如です。この翻訳サイトには、下部に「翻訳サービスの改善のために、サーバーに検索結果を保存する」という一文が記載されており、デフォルトでは文頭のチェックボックスにチェックが入っている状態でした。しかし、このチェックをつけたままで文章を入力すると、その内容が翻訳サイト上に保存され、検索サイト経由での閲覧が可能になり、誰でも見られるようになっていました。
この事例は、デジタル時代における情報管理の重要性を浮き彫りにし、企業や個人が直面する深刻なサイバーセキュリティリスクを示しています。自動翻訳ツールを利用する際は、常に情報漏えいのリスクを意識し、適切なセキュリティ対策を行うことが重要です。
参照元:翻訳サイト経由で情報漏洩、「利用禁止」だけでは解決しない:日経クロステック
情報漏えいのリスクと企業イメージへの影響
情報漏えいが発生すると、企業の社会的信用が低下し、顧客や取引先からの信頼を失う可能性があります。顧客離れや取引停止が発生し、業績悪化にもつながります。また、漏えいした情報が第三者に悪用されてしまうと、被害が拡大し、高額な損害賠償が発生する可能性があります。
日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が2019年に実施した調査によると、1件当たりの平均想定損害賠償額は6億3,767万円です。情報漏えいの原因調査や再発防止策の策定にも、時間とコストがかかります。
参照元:2018年情報セキュリティインシデントに関する調査結果~個人情報漏えい編~(速報版):日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)
セキュリティ対策の大切さ
ここまで説明してきた点を踏まえて、翻訳業務におけるセキュリティ対策の重要性を改めて認識しましょう。機密情報は信頼できる環境で扱い、利用する翻訳ツールのプライバシーポリシーは必ず確認してください。
また、プライバシーマークやISO27001認証を取得した企業のサービスであれば、高度なセキュリティ基準を満たしています。
合わせて、無料ツールではなく有料の法人用プランを選択することで、より強固なセキュリティ環境を確保できます。
主要な自動翻訳ツールの安全性を考える
近年、生成AIをはじめ自動翻訳ツールの性能が進化しています。グローバルなコミュニケーションを行うために非常に役立つ強力なツールですが、先ほどの「iloveTranslation」事件が示すように、セキュリティの観点から慎重に利用する必要があります。主要な自動翻訳ツールのプライバシーポリシーから、安全性について書かれている点をまとめました。
Google翻訳
Googleでは、プライバシーポリシーに、Google全サービスにおいてすべてのユーザーによりよいサービスを提供するために情報を収集します、と記載されています。
お客様が Google のサービスを利用する際に Google が収集する情報の種類について Google は、すべてのユーザーによりよいサービスを提供するために情報を収集します。お客様の使用言語といった基本的な事項を理解することや、お客様にとって最も役に立つ広告はどの広告か、インターネット上で重要な相手は誰か、おすすめの YouTube 動画はどれか、などの複雑な事項を推定することが含まれます。Google がどの情報を収集するか、その情報がどのように使用されるかは、お客様がどのように Google のサービスを利用するか、プライバシー設定をどのように管理するかによって変わります。 |
参照元:Googleプライバシーポリシー
一方、Google 翻訳の有料版ともいえるクラウドサービス「Google Cloud」内の「Translation AI」では、翻訳トレーニングに使用されることはありません、と記載されています。
AutoML によるコード不要の翻訳モデルのトレーニング Cloud Translation - Advanced から AutoML 翻訳機能にアクセスし、カスタムモデルを構築します。将来的なモデル強化はすべて保持され、構築したモデルは Translation API と Translation Hub の高度なティア サービスで引き続き使用できます。 コーディングなしで、ドメイン固有のデータセット(ソース言語とターゲット言語のセグメントのペア)を使用して、Google の事前トレーニング済みモデルを微調整して精度を高めることができます。お客様のデータはお客様のものであり、Google モデルのトレーニングに使用されることはありません。 |
参照元:テキストの翻訳(Advanced) | Cloud Translation
MicrosoftBing翻訳
MicrosoftBing翻訳もGoogleとほぼ同じ条件になっています。有料版のAzureを利用の場合はトレーニング目的では使用されないと記載されており、無料版はサービス改善の目的で記録されている、と記載があります。
Azure Cognitive Services Translatorは、クラウドベースの機械翻訳サービスで、インテリジェントなアプリを構築するためのコグニティブAPIであるAzure Cognitive Servicesファミリーの一部です。翻訳のためにAzure Cognitive Services Translatorに提出された顧客データ(標準モデルとカスタムモデルの両方)、Speechサービス、Microsoft Translator Speech API、および マイクロソフトオフィス 製品は永続的なストレージに書き込まれません。提出されたテキストや音声、またはその一部がマイクロソフトのデータセンターに記録されることはありません。音声およびテキストは、トレーニング目的で使用されることはありません。 サービス改善の目的で音声クリップやテキスト翻訳が記録されている無料のMicrosoft Translatorのエンドユーザー製品は以下の通りです。
マイクロソフト翻訳アプリ 翻訳者 Bing マイクロソフトのエッジ ウェブ翻訳 |
参照元:No Trace - Microsoft Translator for Business
ChatGPT
ChatGPTのプライバシーポリシーでも、個人利用の際にはデータを取得するものの、法人向けには適用されないという記載になっています。さらに、ChatGPTなど生成AIの使用については、機密情報や個人データの漏えい以外にも、以下のようなリスクもあります。
・誤った情報が生成される: ChatGPTの学習データは最新のデータに対応していないため、古い情報をもとに誤った回答を生成することがあります。
・著作権違反のコンテンツが生成される: ChatGPTの生成物に著作権違反のコンテンツが含まれる場合、そのまま利用すると法的問題が発生する可能性があります。
OpenAI OpCo, LLC(以下、当社の関連会社とあわせて「OpenAI」又は「当社」といい ます。)は、お客様のプライバシーを尊重し、お客様から取得した、又はお客様に関する 情報を安全に保つことを強くお約束します。 本プライバシーポリシーは、お客様が当社の ウェブサイト、アプリケーション及びサービス(以下、総称して「本サービス」といいま す。)を利用する際に、当社がお客様から取得する個人情報、又はお客様に関する個人情報についての当社の慣行についてご説明するものです。 本プライバシーポリシーは、当社のAPIなど、当社のビジネス向けオファーの顧客のために当社が処理するコンテンツには 適用されません。そのようなデータの当社による利用は、それらのオファーへのアクセス及び利用をカバーする当社の顧客契約によって規律されます。 |
セキュリティを確保しながら効率的に翻訳を行う方法
今までご紹介してきた通り、自動翻訳ツールを使用する際には、セキュリティの確保も重要な課題です。ここでは、安全性と効率性を両立させる翻訳についてご説明します。
AI+人で翻訳ミスを防ぐ
AI翻訳ツールは、ビジネス文書のような構造化された文章の翻訳に優れています。定型表現や専門用語を正確に処理できるため、時間とコストの削減に効果的です。しかし、それでも完全な正確性は保証されません。そのため、AI翻訳で生成された内容を人間がチェックし、必要に応じて修正することが大切です。
特に、文脈に応じた表現の選択や文化的な表現に配慮が必要な場合は、人間の判断が欠かせません。このハイブリッドアプローチにより、高品質で安全な翻訳が可能です。
翻訳ツールの権限設定と管理を行う
セキュリティを確保するには、ユーザーのアクセス権限の管理が不可欠です。翻訳ツールへのアクセス権限を業務上必要な社員に限定し、文書の機密レベルに応じて権限を細かく設定します。
他にも、SAML(Security Assertion Markup Language)認証によるシングルサインオンを利用したり、IPアドレスのアクセス制限をかけるなど、複数の対策により、不正アクセスや情報漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。
セキュリティと作業効率を両立させる翻訳ツールを選ぶ
適切な翻訳ツールの選択は、セキュリティと効率化の両立に不可欠です。データの暗号化や国際的なセキュリティ基準への準拠、カスタマイズ可能なセキュリティ設定を備えたツールを選びましょう。また、辞書機能、既存システムとのAPI連携なども重要です。これらの機能により、翻訳の一貫性と効率が向上します。さらに、誰でもすぐに使えるような優れたインターフェースがある点も重要です。適切なツールを選ぶことで、セキュリティを確保しながら効率的な翻訳作業が可能です。
安全性の高いAI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」
ビジネスのグローバル化が進む中、安全性の高い翻訳ツールの需要が高まっています。ヤラクゼンは、高度なセキュリティ機能を備えたAI翻訳プラットフォームとして注目を集めています。企業の機密情報を守りつつ、効率的な翻訳作業を可能にするヤラクゼンの特徴をご紹介します。
データの暗号化と個別管理
ヤラクゼンでは、データの保護に細心の注意を払っています。ヤラクゼンで採用している翻訳エンジンは全て個別に契約しているため、データが二次利用される心配がありません。
さらに、顧客ごとにデータが個別管理されているため、他のユーザーがアクセスすることもできません。パスワードなどの機密情報もデータベース内で暗号化されており、万全のセキュリティ体制が整っています。
ISO27001認証取得の信頼性
ヤラクゼンは、国際的に認められた情報セキュリティの規格であるISO27001認証を取得しています。
この認証は、多言語コミュニケーションツールの企画、開発、サービス提供の全範囲をカバーしています。ISO27001認証の取得は、ヤラクゼンが厳格な情報セキュリティ基準に準拠していることを証明しています。
カスタマイズ可能なセキュリティ設定
企業によって異なるセキュリティニーズに対応するため、ヤラクゼンは柔軟なセキュリティオプションをご用意しています。シングルサインオン、IPアドレス制限、パスワード強化設定などが利用できます。特に高度なセキュリティが必要な場合は、プライベートクラウドでの導入も可能です。このようなカスタマイズ性の高さは、様々な業種や規模の企業にとって大きなメリットです。
「ヤラクゼン」で安全で効率的な翻訳業務を
ヤラクゼンは、高度なセキュリティと効率的な翻訳プロセスを両立させたAI翻訳プラットフォームです。データの暗号化、ISO27001認証、カスタマイズ可能なセキュリティ設定により、企業の機密情報を守りながら、高品質な翻訳を実現します。ぜひ、適切な翻訳ツールを選び、安全で効率的な翻訳業務を実現してください。
ヤラクゼンのカンパニープランは、法人様限定で2週間の無料トライアルをご用意しています。トライアル終了後に自動的に有料プランに切り替わることはありませんので、興味をお持ちの方はぜひ以下よりお申し込みください。お問い合わせお待ちしております。
この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム
翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。